福田秀樹神戸大学長

2010年1月4日  本部事務局大会議室

新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、 新たな良いお正月を迎えられたことと存じます。  

さて、本年は第一期中期目標?中期計画の期間が終わり、 第二期中期目標?中期計画のスタートとなる年です。神戸大学にとっては 「神戸大学ビジョン2015」に掲げた「世界トップレベルの教育研究拠点」を構築するため、 発展?飛躍をすべく大切な年を迎えることになりました。

神戸大学における最近設置された新しい組織や計画中の施設などを取り挙げますと、 次のとおりです。

まず、附属学校園の再編です。 昨年4月に、従来の発達科学部附属学校 (6校園) を改組し、 新たに神戸大学附属学校 (4校園) を設置しました。附属中等教育学校において中高一貫教育を実施するため、 初等?中等教育段階での全学による教育研究拠点が構築されたことになります。

次に、本年4月には新たな独立研究科として、ポートアイランドで設置が進む理化学研究所の 「次世代スーパーコンピュータ」をベースに、 計算科学などに関する教育研究ならびに人材育成を目的とした 「システム情報学研究科」がスタートします。この新研究科は本学を中心に、 近隣の大学のみならず、全国の大学との連携などを構築することによって、 研究だけではなく、 次世代スーパーコンピュータなどの超高速計算機を使いこなせる人材をも育成するという特徴を有しており、 その成果が大いに期待されています。

また、平成23年度には、「次世代スーパーコンピュータ」設置場所に隣接したエリアで産学官連携を目的に、 神戸大学の全学の「統合研究拠点」設置に向けた計画を推進しております。 

次いで、新たな施設の整備に関しては、本年3月には自然科学系の「総合研究棟4号館」が完成予定で、 従来の狭隘な研究環境が著しく改善されます。

そして、長年の懸案事項で、女性の仕事への従事を容易にするために不可欠な「保育所」についても、 平成23年度に楠地区において設置する計画を推進しております。 

その他、毎年15名程度の若手研究者を海外に1年程度長期派遣する制度の設置や、 2008年ノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生を始めとする4名の新しい経営協議会の学外委員の委嘱も決定いたしました。

以上述べましたように、近年、神戸大学においては、 いくつかの新しい組織や制度の設置あるいは施設の整備などが行われ、 内容的にも着実に充実しつつあり、飛躍のための「胎動」も見え始めております。

しかしながら、ビジョン2015に掲げた「世界トップレベルの教育研究拠点」を構築するためには、 第二期中期目標?中期計画に記載した多くの克服すべき課題があります。私は、 このような課題を着実に解決し、成果を挙げていくことが肝要で、そのためには、 従来の枠組みを超えた大胆な取り組みを行い、目に見えた成果を創出していく必要があると考えております。

一方、我々を取り巻く環境を見ますと、昨年には政治の世界では政権が交代したことから、 文部科学省の運営費交付金の増減、特別教育研究経費の取り扱い、 その他文部科学省を始めとする各省庁の外部資金に関する予算規模や運営方法など、 今後どのような状況になるのかは、甚だ不透明ではあります。

しかしながら、このように先行きが不透明な時代であるからこそ、 種々の状況の変化に対しては柔軟かつ迅速な対応がより不可欠になると思います。 そのためには、教員?職員全員がそれぞれの役割を理解?認識し、 一体となって神戸大学の大胆な改革に取り組むことが何よりも重要であると考えます。

新年を迎えるにあたって、 皆様のご協力をお願いする次第です。

神戸大学長 福田秀樹