神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科(以下「科学技術イノベーション研究科」)とコニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大幸 利充、以下「コニカミノルタ」)は共同して「理系アントレプレナー人材」の育成を行うため、令和4年11月8日に、包括的な人材育成提携契約を締結しました。

科学技術イノベーション研究科は、「自然科学研究の独創的な発見(ブレークスルー)を新たな経済的価値の創造(イノベーション)につなげる」人材(=理系アントレプレナー)を育成するための「文理融合教育」を行なっています。また、コニカミノルタは将来的な社会課題を見据えて、事業活動を通じてこれらの解決に貢献できるイノベーションを生み出しビジネスを創出する人材の育成に力を入れています。両者は共同で研究の事業化を実現できる人材育成のメソッドを構築し、社会的な波及効果を目指します。

人材育成の具体的な内容は下記の三点です。

  1. 科学技術イノベーション研究科の博士課程後期課程にコニカミノルタの社員を受入れ、「理系アントレプレナー」を育成するための「文理融合教育」を行う
  2. コニカミノルタは、科学技術イノベーション研究科前期課程学生の教育に、実務的なノウハウを提供する
  3. 学生教育を通じて両者の共同研究をつなげる社会的な課題を見出し、課題解決のためのプランを作成する

理系アントレプレナー育成を推進する社会的背景

政府の施策、多くの企業戦略を見ると、これからの日本経済にとってイノベーションが重要であることは言うまでもありません。現在米国シリコンバレーなどでイノベーションを牽引している企業の多くは、理系研究と事業創造双方の実績を持つ「理系アントレプレナー」によって経営されています。ところが、日本では、法律、経済、金融のバックグラウンドを持った人材が企業経営をリードする伝統が根付いています。ただ、昨今のグローバル競争においてブレークスルーをイノベーションにつなげる必要性が高まる中、これまでの「伝統」に反して、日本企業においても理系アントレプレナーが経営を担う例が増えつつあります。このような人材を育成することは、国家戦略にも資すると言えます。

両者の提携がユニークな点

科学技術イノベーション研究科は、理系アントレプレナーの育成を目指して2016年に開講した大学院です。コニカミノルタは、ケミカル、オプトロニクス、イメージングの研究開発者を数多く擁し、AIやデジタル技術を活用することで、社会課題の解決に貢献できる技術、サービスを提供してきました。日本ではIT出身のアントレプレナーが多い中、同社では、高度な科学技術を事業にマッチングできる自然科学系のアントレプレナーを必要としており、その育成が求められています。

大学と企業の共同研究をきっかけに社員が大学で学ぶ例は数多いですが、社員の大学での学びから共同研究への発展を目指す本件は、ユニークな事例と言えます。また、その過程でブレークスルーをイノベーションにつなげる理系人材を育成できることも、先進的な取り組みであると考えられます。

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(科学技術イノベーション研究科)