教養教育院開講の高度教養科目「複言語共修セミナー:外国語としての日本語」(主担当:村山かなえ異分野共創型教育開発センター特命講師?副担当黒田千晴グローバル教育センター准教授)において、チュラロンコン大学文学部東洋言語学科ユッパワン?ソーピットヴッティウォン文学部准教授の協力を得て国際共同授業を実施しました。
当該授業科目は、多文化理解を考える手がかりとして、外国語としての日本語を多角的に見つめることにより、受講生が自身の言語学習活動を省察すると同時に、異なる言語や文脈における物事への洞察力を涵養することを目的としています。当該授業は、国内学生と交換留学生を含む留学生が共に学ぶ国際/多文化間共修授業として昨年度より開講しています。
そして、授業の第3回目に当たる6月27日、チュラロンコン大学のユッパワン准教授とオンラインで繋ぎ、Overview of Japanese language education in Thailandと題した英語による特別講義を実施していただきました。ユッパワン准教授は講義において、タイの教育システムや第二外国語教育が広く普及している社会的背景、さらに第二次世界大戦後に本格化したタイにおける日本語教育の歴史、日泰間の経済的結び付きや日本のポピュラーカルチャーの普及などを紹介し、これらの要因がタイにおける日本語学習者の継続的な増加に繋がっていると説明されました。またタイ有数の国立大学であるチュラロンコン大学において、どのような日本語教育が展開されているのか、また学生達の日本語学習の動機やキャリア形成などについて、具体例を挙げて紹介されました。
受講生からは、ユッパワン准教授の講義を通して、タイでの日本語教育の発展が戦時中の日泰間の政治的関係に由来しているということや、近年、チュラロンコン大学の学生の日本語学習動機が、日本のポピュラーカルチャーへの興味関心に拠るところが大きいと知り、言語学習や言語教育の発展の経緯には、歴史、政治、社会経済的要因が深くかかわっていると学んだといったコメントが寄せられました。また、当該授業を履修している交換留学生の中には、出身国とタイの日本語学習者や日本語教育の状況を比較したコメントや、チュラロンコン大学の日本語学科卒業生がほぼ100%希望する就職先に就職できるのは素晴らしい(出身国では難しい)と感銘を受けたといった感想がありました。
さらに、受講生達は、授業の冒頭におこなわれたタイに関するクイズや、チュラロンコン大学をはじめ、タイの大学で制服が導入されている様子など、身近なトピックを通してタイの社会について知ることができ、より一層タイの社会や文化に興味関心を抱いたようでした。
ユッパワン准教授は、2004年~2005年にかけて本学の旧留学生センター(現グローバル教育センター)にて、日本語日本文化研修生として学ばれた神戸大学の同窓生でもあられます。今回の国際共同授業の実施を契機に、今後さらに両大学の研究?教育交流が促進されることが期待されます。