グローバル教育センター留学生教育部門では、毎年、海外協定大学の学生を対象とした「夏期日本語日本文化研修プログラム」を実施しています。
昨年度より本学農学部の「大学の世界展開力強化事業」との共催となり、初級レベル1クラスと中上級レベル2クラスの2つのレベルで3クラスを開講しました。中国、韓国、台湾、アメリカ、フィリピン、カナダなど、世界各国から合計28名の学生が参加しました。
初級クラスでは、日常生活で使用する日本語表現を中心とした教科書を使い、英語?日本語でのディスカッションも取り入れ、日本語の基礎力と日本?日本語に関する知識を養いました。また、中上級クラスでは、「大学生活」「日本文化の海外進出」「神戸の歴史と文化」「地域経済」「方言」などのテーマのもと、日本?神戸をトピックにして日本語の運用力を磨きました。両クラスとも、午後の授業では、午前に学んだことについて、神戸大学生とディスカッションを行うことで、理解を深めることを目指しました。また、中上級クラスでは、講義とフィールドワークを組み合わせた授業「地域研究」を実施し、地域住民の生活に欠かせない商店街の魅力を体験する時間や国際色豊かな神戸市内で見られる多言語を探す活動も取り入れました。
最終日には28名全員がこの2週間で学んだ成果をまとめ、発表しました。今年度より初級クラスも最終発表に参加しましたが、学んだ日本語を積極的に使い、英語も交えて発表しました。中上級クラスでは、「オーバーツーリズム」「グローバル視点のサブカルチャー」「神戸の言語景観」「神戸牛の歴史と発展」などをテーマに、観光、食文化、ポップカルチャーといったさまざまな切り口から、日本や神戸について流暢な日本語で発表しました。また、各発表の後には参加者同士による積極的な質疑応答が行われ、活発な議論の場となりました。いずれのクラスの学生からも、10日間という短い期間ながらも、日本語力の向上だけでなく、日本の文化や社会、さらには神戸について理解が深まっていることがうかがえました。
また、本プログラムは、参加留学生だけでなく、神戸大学生にとっても異文化交流ができる場となっています。留学生の日本語学習活動に関わってみることで、日本語や異文化交流に関する理解をさらに深めることができます。在学生においても多様な文化?言語背景を持つ同世代の留学生との交流を通して、日本を「外から見る」視点を養うとともに、各国の事情や異文化コミュニケーションについて学ぶ貴重な機会となっています。
過去には、本プログラムへの参加をきっかけに交換留学生や大学院生として、神戸大学に「帰ってきた」留学生も多数見られます。今回の参加者からも「神戸をもう一度訪れたい」「神戸大学に留学したい」との感想が多く寄せられ、短期間ながらも、多くのことを意欲的に学び取ろうとする留学生の姿が印象的でした。今後も同プログラムを通し、神戸と神戸大学の魅力を継続的に海外に発信していきます。



(グローバル教育センター)